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2011年07月10日
中山佐知子 2011年7月10日放送

ショウガの宇宙食
中山佐知子
1965年3月、アメリカの宇宙飛行士ジョン・ヤングは
宇宙食のまずさに抗議するために
ターキーサンドイッチをジェミニ3号に内緒で持ち込んだ。
人類が宇宙で食べたはじめてのサンドイッチは
当時としては大事件だったが
これがきっかけになって
離乳食のようなクソまずい宇宙食の見直しがはじまり
人間らしい宇宙食の開発がすすめられたのである。
1970年のアポロ13号の宇宙食は
チキンスープ、スクランブルドエッグ、ツナサラダ
スパゲッティミートソースなど
名前だけ耳にする限りはファミレス並みのメニューになっているが
宇宙での食事メニューが飛躍的に進歩したのは
やはり国際宇宙ステーションからだった。
国際宇宙ステーションには世界各国の宇宙飛行士が滞在するために
食事のバリエーションが必要となり
日本人宇宙飛行士の登場とともに
日本の食品もついに宇宙に進出することになったのだ。
赤飯、たこ焼き、カレーにカップ麺、肉じゃがに梅干し
お好み焼きにヤキトリ、菜の花ピリ辛和え、いなり寿司、
京風あんかけ五目うどん…
日本人宇宙飛行士は実にさまざまな日本食を宇宙に持ち込んだ。
これらは外国人宇宙飛行士にも評判がよく
野口聡一宇宙飛行士が持ち込んだカレーやラーメンは
外国人宇宙飛行士に食われてしまったというエピソードが
残るくらいだ。
さて、この日本宇宙食のリストをつらつら眺めるに
ひとつの隠れた食品の暗躍がうかがえる。
いなり寿司、お好み焼き、たこ焼きに共通する食品、
それはあきらかにショウガだ。
ショウガは2008年のショウガいなり寿司、
2010年の牛肉ショウガ焼きという宇宙食メニューで
その存在が白日のもとにさらされることになった。
日本人なら誰しもショウガという言葉に幻想を描く。
夏ならばスダレをゆらす風、遠慮がちになる風鈴、
そばにはビールがあり、小皿にはショウガがのっている。
宇宙スターションの限られた空間で
一瞬でもそんな夢を見ることができたら
宇宙食はついに食べる喜びという究極の栄誉を
ショウガのおかげで手にすることになる。
ショウガをもっと宇宙へ。
ショウガの岩下食品は
いつでも宇宙に大量のショウガを送り込む用意がある。
そのためにショウガのあたらしいレシピも開発し
常にホームページに載せているほどだ。
日本の伝統食品から宇宙時代の最先端食品へ
ショウガの未来は意外と明るい。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
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