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コピーライターの裏ポケット
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2011年09月25日
上田浩和 2011年9月25日放送

となりのとろろ
上田浩和
この9月分のポケット社の原稿を書くにあたり、
最初に思いついたのは「となりのとろろ」という言葉でした。
単なるダジャレで、なんのひねりもありませんが、
サツキとメイが、森のなかで、
白いとろろにまみれてはしゃいでいる様子を思い浮かべてみると、
ありなんじゃないかと思いました。
近所に住むカンタのおばあちゃんが毎朝すってくれる山芋が、
サツキとメイは大好きなのです。
二人がはしゃぎすぎたときには、
糸井重里の声をしたお父さんがちゃんと叱ります。
ありなんじゃないでしょうか。
お母さんは入院中のため今家にはいません。
とろろアレルギーであるお母さんは、十分注意して避けていたのですが、
ひょんなことから食べてしまい、発疹が治るまでは病院のベッドの上なのです。
ありです。お母さんがとろろアレルギーという設定は、ありです。
そのアレルギーがサツキとメイには遺伝しなかったようで、ぼくはひと安心です。
もし、二人までアレルギーだったら、
この「となりのとろろ」というお話は成り立ちませんからね。
よかった。運も味方してくれそうです。
このお話には追い風が吹いています。
しかし、この風にのればいい話が出来そうだと思ったのも束の間、
風は、黒い雨雲を運んできました。
さっきまでの青空は嘘のようにかげり、
地面をたたきつけるほどの雨になりました。
森のバス停では、赤い傘をさしたサツキとメイがネコバスの到着を待っています。
でもやって来たのは、コネバスでした。
それは、コネ入社のサラリーマンたちを満載したバスです。
これまたダジャレです。でも、いいのです。迷いのないベタは、最強です。
サツキとメイはバスの中で彼らと名刺交換をしました。
そういう人たちと知り合いになっておくことは、
これからの人生でとても有利に働きますからね。
彼らのなかに映画系のコネがあれば、
「となりのとろろ」のアニメ映画化が実現するかもしれませんし。
そうこうしているうちに、二人をのせたコネバスは、
ある病院の前でとまりました。もちろんお母さんが入院している病院です。
そろそろこの「となりのとろろ」もフィナーレを迎えようとしていますが、
どうもいいオチが思いつきません。
やはり、ここは本家トトロに倣い、二人が持っていた山芋を、
お母さんの病室の窓枠に置いて立ち去るのがいいのでしょうか。
いや、それは、ありじゃない気がします。
もっといいオチがあるような。
大前提に立ち返ってみると、この原稿を読むのは柴草玲さん。
あの柴草さんが、その独特な感じで「とろろ」を読むと、
なんか卑猥な気がしませんか?
ちょっと試しに読んでもらいましょうか。
と、ろ、ろ。
やっぱりだ。どうしよう。
子供の発育に悪影響を与えない話が前提のポケット社なのに。
「となりのとろろ」を聞いて育った子供の未来は何色でしょうか。
やはりこのお話には無理があるようです。
また別の話を考え直すことにします。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:上田浩和
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