コピーライターの裏ポケット

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2014年06月15日

小松洋支 2014年6月15日放送

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明けがたの夢
            
         小松洋支

心理学のゼミに出ている。
なぜか教室ではなく、地下鉄の駅だ。
ハツカネズミの学習能力を調べる実験について、教授が説明している。
線路の脇に立ち、背伸びをして、ホームの端(はじ)を机代わりに
ノートをとろうとしている。
電車が来たら危ないなと思う。
しかもボールペンのインクが出ない。
ぐるぐる螺旋を書き続けても、紙をひっかくばかり。
と、不意に黒い液体が飛んできて、ノートの上にボタリと落ちる。
これをペン先につければ書けるかもしれない。
見ると教授の足もとにタコがいる。
きっと、あれがスミを吐いたのだ。

という夢から覚めた。
確かに木曜は心理学のゼミがある。
教室に着いて、ノートを開く。
パリパリと音がする。
ページの両側に黒い丸。
スミでページがくっついていた跡だ。


むこうからピンクの色鉛筆が転がってくる。
長さ7メートル、直径が50センチくらいある。
猛烈なスピードだ。
これを飛び越す。
続けて黄色の色鉛筆が転がってくる。
飛び越す。
次は空色。
その次は紫。
そのまた次は肌色。
前方を見ると、何十色もの色鉛筆が、丘の上から転がってくる。
それを、何十人もの人間が、ハードルのように飛び越している。
ははあ、これは夢だな。
明けがた近くなると、いつもはっきりした夢を見るのだ。
そんなことを考えていたので、
目の前に迫っていたこげ茶の色鉛筆に気づかず、
はね飛ばされて、どこかの縁の下に転げこむ。
板の隙間から、縁側を歩く人の足の裏が見える。

という夢から覚めた。
金曜は必修の外国語がある。
着替えようとしてパジャマを脱ぐと、
右の脛が内出血している。
色鉛筆にぶつけたのと同じところだ。


ゾンビたちに行く手を塞がれている。
後ろは断崖絶壁だ。
ケータイで助けを呼ぼうとするのだが、
テンキーが顔文字になっていて発信できない。
なにか武器になるものはないか。
足元の棒きれを拾うと、うまい棒になっている。
石を拾うと、ガチャガチャのカプセルになっている。
ははあ、これは夢だな。
だが待てよ。
このまま目が覚めると、まずいことになるかもしれない。
平和な夢で上書きしないと、危ないかもしれない。
そう考えている間にも、ゾンビたちは斧を振り上げ、
じりっじりっとこちらに近づいてくる。
背後で、波が岩に砕け散る音がする。


出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:小松洋支
posted by 裏ポケット at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小松洋支 | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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