コピーライターの裏ポケット

こちらのブログは
「コピーライターの左ポケット」の
原稿と音声のアーカイブです




2012年10月07日

野原ひとし 2012年10月7日放送

a0950_000149.jpg

交差点

                 野原ひとし

夜、気が付いたら交差点に立っていた。
僕は裸足だ。
まいったな。あのスニーカー買ったばかりなのに。
今朝は娘の運動会でお茶と称してウイスキーを飲み、
午後も飲み続け、夜、知り合いのバンドのライブに行って
飲んでいたところまで覚えている。

少し飲みすぎたな。
それにしても、ここはどこなんだろう。
ライブハウスからそんなに遠くないとすれば、
東京港区のどこかのはずだが、なんか変だ。
馴染みの場所なのにさっぱり見当がつかない。
ふと見ると、ギターを抱えた男が立っている。
暗くてよくわからないが、男自身も色が黒いのだろう。
男は歌い始めた。英語のブルース。知っている曲だ。

クロスロード。
歌うは伝説のブルースシンガー、ロバートジョンソン。
アメリカミシシッピー州の十字路で、
ブルースのテクニックを身に着けるために悪魔に魂を売った男。
27歳で死ぬまでギター一本の弾き語りでアメリカ大陸を渡り歩いた。
彼の死因については
「人妻と不倫をしたため、その夫に殺された」
など諸説あるが、
彼を殺したものは悪魔であると語られている。

クロスロード伝説として語り継がれているこの話、
伝説というほど、たいした話だろうか。
何かを求めれば、何かを失う。
その程度の話なんじゃないだろうか。
ブルースを求めれば、命を失う。
酒を求めれば、スニーカーを失う。
GIVE&TAKE
僕と悪魔と?

交差点のブルースシンガーへ。
リクエストを一曲。
悪魔を憐れむ歌。シンパシーフォーデビル。
あんたの後輩のローリングストーンズってバンドの曲なんだが、、、
ところで、ここはどこだっけ?
東京都港区?アメリカミシシッピー州?
休日の夜に裸足の中年男。アスファルトの感触は冷たい。
でも、なくしたスニーカーは悪魔に譲ろう。


出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:野原ひとし
posted by 裏ポケット at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 野原ひとし | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。