コピーライターの裏ポケット

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2010年08月08日

渡辺裕之 10年8月8日放送

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自由への扉
                渡辺裕之

今日は朝からなんだかおかしい。
開かないのだ。私が自動ドアの前にたっても、ドアが開かないのだ。
1回だけならまだしも、3回続けて開かなかった。
会社の入り口、コンビニ、郵便局。
どこの自動ドアも反応しなかった。
なぜだ?
最近ダイエットに成功して体重が軽くなったから?
それとも、黒いスーツを着ていて影とみなされた?
いや、もしかすると存在感が薄くなってる?
いくら考えてもわからないので、
会社の入り口にいる警備員さんに聞いてみることにした。
「今朝、そこの自動ドアが開かなかったんですけど、壊れてるんでしょうか?」
「失礼ですが、ほかの自動ドアは開きましたか?」
「実はそれが、コンビニの自動ドアも、郵便局の自動ドアも開かなかったんです」
そう言うと警備員さんは、私に強く握手を求めながら、こう言った。
「おめでとうございます!あなたは自動ドアのかわりに、どこでもドアを手に入れたんです!」
自動ドアのかわりに、どこでもドア? 
話が飛躍しすぎではないか?
でも、騙されたと思って、自分がいる22階のオフィスから見える、
東京スカイツリーのいちばん上に行きたいと念じてみた。
するとどうだろう。私は確かにスカイツリーのてっぺんにいた。
まだ建設途中だから、大きなクレーンがあり、鉄材などが散在している。
ウソだろ?こんな事あるのか?夢じゃないの?
そう思っていると、背後から「夢じゃありませんよ」という声が聞こえた。
えっ、母さん?スカイツリーのてっぺんにいるだけでも不思議なのに、
なんとそこには、亡くなった母がいたのだ。
「なんで、母さんがここにいるの?」
「母さんはあなたのことを、空高くから、ずーっと見守っていたんです」
その言葉を聞いた瞬間、私は全身から力が抜け、
フワフワと体が宙に浮いていくような感覚を憶えた。
そして今日起きた出来事が、頭の中でつぎつぎとフラッシュバックした。
そうだ、思い出した。
私は今日、自動ドアに認識されなくなったかわりに、どこでもドアを手に入れたのだ。
だから、これからはどこへでも行けるし、いつでも母さんに会える。
そう思うと、なんだかとても安らかな気持ちになった。
眼下には、これまで見たことのない、壮大な見晴らしが広がっていた。



出演:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/

タグ:渡辺裕之
posted by 裏ポケット at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 渡辺裕之 | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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